翼を広げれば大人の背丈をこえるほど、フクロウの仲間としては世界でも最大級——それが北海道の森にすむシマフクロウです。国内のフクロウでただ1種、魚を主食にする少し変わった暮らしぶりと、アイヌの人々に「村を守る神」としてあがめられてきた歴史をもつ、特別な鳥でもあります。
けれども野生のシマフクロウは、いま絶滅の危機にあります。北海道内の生息数は環境省の令和4年度調査で100つがい(約200羽)ほど。その姿を野外で見るのは簡単ではありません。だからこそ、動物園で間近に会える機会はとても貴重なのです。
この記事では2026年7月16日時点でシマフクロウに会える動物園を、各園と環境省の公式情報で確認して6施設にまとめました。あわせて、世界最大級といわれる体の大きさや、アイヌ文化での位置づけ、長く続いてきた保護の歴史など、「会いに行く前に知っておくと感動が深まる」生態も解説します。
この記事の見方
掲載した施設は、日本動物園水族館協会(JAZA)系の飼育情報や各園の公式サイトで展示を確認したものです(すべて2026年7月16日時点)。シマフクロウは絶滅が心配される希少種で、傷病個体の治療などを行う非公開の保護・研究施設もありますが、本記事では一般に見学できる(会える)施設だけを数えています。展示は個体の体調や施設の都合で予告なく休止されることがあるため、おでかけ前に各園の公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。
シマフクロウに会える動物園【2026年最新・6施設】
まず結論です。2026年7月16日時点で、シマフクロウの展示が確認できるのは次の6施設です。生息地である北海道の3園を中心に、本州の秋田・長野・栃木にも会える場所があります。
| 施設名 | エリア | 展示場所 |
|---|---|---|
| 釧路市動物園 | 北海道 | 展示館前・ハクチョウ池への通路沿い |
| 旭川市旭山動物園 | 北海道 | シマフクロウ舎 |
| 札幌市円山動物園 | 北海道 | 猛きん舎 |
| 秋田市大森山動物園 | 秋田県 | 園内展示 |
| 長野市茶臼山動物園 | 長野県 | 園内展示 |
| 那須どうぶつ王国 | 栃木県 | 王国ファーム「猛禽の森」 |
※ 2026年7月16日時点で各園・環境省の公式情報により確認したものです。シマフクロウは繁殖や遺伝的多様性のために動物園どうしで個体を貸し借りすることがあり、展示個体や展示の有無が変わる場合があります。
釧路市動物園(北海道)
シマフクロウの保護・繁殖の歴史を語るうえで欠かせないのが釧路市動物園です。公式サイトによると、展示場所は「ヒグマ舎からハクチョウ池へ下りていく通路の途中」と「展示館前」。シマフクロウの本来の生息地である道東で、その姿に会えます。
特筆すべきは繁殖の実績です。釧路市動物園は1995年に世界で初めて飼育下での繁殖に成功し、その後も1998年の人工孵化、1999年の三世誕生、2010年・2020年の繁殖と成果を重ねてきました。ここで生まれ育った個体が、後述するほかの動物園へ渡っていったケースもあります。
| 所在地 | 北海道釧路市阿寒町下仁々志別11 |
| 展示場所 | 展示館前・ハクチョウ池への通路沿い |
| 公式サイト | 釧路市動物園 |
旭川市旭山動物園(北海道)
全国的に人気の高い旭山動物園でもシマフクロウに会えます。公式サイトによると、展示場所はその名も「シマフクロウ舎」。旭山動物園のシマフクロウ解説では、体長約70cm・翼開長約180cm・体重約4kgと、その堂々とした体格が紹介されています。
シマフクロウは繁殖と遺伝的多様性の確保のために、動物園どうしで個体を貸し借りしています。そのため旭山動物園でも、他園との間で展示個体が入れ替わることがあります。お目当ての個体がいるかどうかは、来園前に公式サイトのお知らせで確認しておくと安心です。
| 所在地 | 北海道旭川市東旭川町倉沼 |
| 展示場所 | シマフクロウ舎 |
| 公式サイト | 旭川市旭山動物園 |
札幌市円山動物園(北海道)
札幌市内でシマフクロウに会えるのが円山動物園です。公式サイト(2026年3月18日時点)によると、展示場所は正門を入ってすぐ左にある「猛きん舎」。オオワシ・イヌワシ・オジロワシといった大型の猛禽(もうきん)たちと並んで展示されています。
円山動物園は2016年(平成28年)から飼育下繁殖に取り組んでおり、公式情報によれば、ここで生まれたオス1羽が2023年(令和5年)11月に後述する那須どうぶつ王国へと渡りました。飼育する園を増やし、感染症などのリスクを分散させることが目的だそうです。転出後も円山動物園ではシマフクロウの展示が続いています。
| 所在地 | 北海道札幌市中央区宮ケ丘3-1 |
| 展示場所 | 猛きん舎(正門入ってすぐ左) |
| 公式サイト | 札幌市円山動物園 |
円山動物園にはシマフクロウのほか、天然記念物にも指定された猛禽など見どころが豊富です。同じ「会える場所が限られる大型の鳥」つながりで、ハシビロコウに会える動物園もチェックしてみてください。

秋田市大森山動物園(秋田県)
本州でシマフクロウに会える動物園のひとつが、秋田市の大森山動物園です。シマフクロウを飼育するJAZA加盟の4園(釧路市・旭山・円山・大森山)のひとつで、釧路市動物園と旭山動物園から来園した個体をもとに、繁殖を目指して飼育されています。
秋田市の公式サイトでは、飼育動物の紹介ページでシマフクロウが案内されています。北海道まで足をのばさなくても、東北でこの希少なフクロウに会えるのは貴重な機会です。ただし繁殖に向けた飼育のため、展示のようすは変わることがあります。来園前に公式サイトで最新の展示情報を確認しておきましょう。
| 所在地 | 秋田県秋田市浜田字潟端154 |
| 展示場所 | 園内展示(公式サイトで最新情報を確認) |
| 公式サイト | 秋田市大森山動物園 |
長野市茶臼山動物園(長野県)
中部エリアでシマフクロウに会えるのが、長野市の茶臼山動物園です。放し飼い方式を取り入れた自然豊かな動物園で、シマフクロウも飼育・展示されています。関東・中部からアクセスしやすく、北海道の希少種に会える貴重なスポットです。
展示場所や公開状況は時期によって変わることがあります。お出かけの前に、茶臼山動物園の公式サイトや公式SNSで最新の展示情報を確認するのがおすすめです。
| 所在地 | 長野県長野市篠ノ井有旅570-1 |
| 展示場所 | 園内展示(公式サイトで最新情報を確認) |
| 公式サイト | 長野市茶臼山動物園 |
那須どうぶつ王国(栃木県)
関東でシマフクロウに会えるのが、栃木県の那須どうぶつ王国です。公式サイトによると、展示場所は王国ファーム内の「猛禽の森」(園内マップ21)。2024年3月30日から一般公開が始まりました。公開されているのは、円山動物園で生まれたオスの個体です。
猛禽の森では、シマフクロウの大きな体と力強い姿を間近で見られます。ただし公式サイトでも案内されているとおり、体調や気温によって展示をお休みする場合や、個体の居場所によって見えづらい場合があります。関東から日帰りでこの希少なフクロウに会えるのは大きな魅力です。
| 所在地 | 栃木県那須郡那須町大島1042-1 |
| 展示場所 | 王国ファーム「猛禽の森」 |
| 公式サイト | 那須どうぶつ王国 |
那須どうぶつ王国のように、天然記念物や希少な猛禽に会える施設は限られています。同じく天然記念物の猛禽であるカンムリワシに会える動物園も、あわせてどうぞ。

シマフクロウってどんな鳥?世界最大級のフクロウの生態
会いに行く前に、シマフクロウがどれほど特別な鳥なのかを知っておくと、その一羽の重みがぐっと伝わってきます。ここでは大きさ・暮らし・文化・保護の4つの視点から紹介します。
世界最大級・国内で唯一の「魚を食べるフクロウ」
シマフクロウは現存するフクロウの仲間のなかでも世界最大級とされる大型種です。各園の公式情報では全長約70cm、翼を広げると約180cm、体重は約3〜4kg。(学術的な資料では全長63〜71cm・翼開長175〜190cm・体重3.4〜4.1kgとされ、園や資料によって数値に幅があります。)
暮らしぶりも独特です。円山動物園や旭山動物園の解説によると、シマフクロウは国内のフクロウで唯一、魚を主食にするフクロウ。オショロコマやヤマメといった川魚をとらえて食べ、カエルやザリガニ、小鳥などもえさにします。水辺の森にすみ、川で魚をつかまえる——ワシミミズクのような姿で漁をする、ちょっと意外なフクロウなのです。
アイヌ文化のなかの「コタンコロカムイ(村を守る神)」
シマフクロウは、北海道の先住民族であるアイヌの人々にとって、古くから特別な存在でした。アイヌ語で「コタンコロカムイ(コタン・コㇿ・カムイ)」と呼ばれ、これは「村(コタン)を守る神」「村を司る神」という意味です。円山動物園の解説でも「村を守る神様としてあがめられてきた」と紹介されています。
カムイ(神)としての位置づけはとても高く、資料によってはヒグマやオオカミに次ぐ存在として語られることもあります。森の頂点に立つ大きなフクロウが、夜の川辺で静かに魚をとらえる——その神々しい姿が、人々の敬意を集めてきたことがうかがえます。動物園でその大きな瞳を見つめると、なぜ「神」と呼ばれたのかが少しわかる気がします。
絶滅の危機と、長く続く保護の歴史
これほど大きく力強いシマフクロウですが、いまは絶滅が心配される希少種です。環境省の調査では、北海道内の生息数は令和4年度時点で100つがい(約200羽)ほど。森林の伐採で巣をつくる大木が減ったことなどが、数を減らした大きな原因とされています。(生息数は釧路市が100つがい程度、旭山動物園が日本で約140羽とするなど、調査時点や範囲により数値に幅があります。)
1971年:国の天然記念物に指定
1984年(昭和59年):環境庁が冬期の人工給餌や人工巣箱の設置などの保護事業を開始
1993年(平成5年):種の保存法の施行にともない、国内希少野生動植物種に指定
1995年:釧路市動物園が世界で初めて飼育下での繁殖に成功
動物園での飼育・繁殖は、こうした保護の取り組みの一部でもあります。万が一に備えて飼育下でも個体を守り、来園者にシマフクロウのことを知ってもらう——あなたが動物園で一羽に会うことも、この鳥を未来へつなぐ小さな一歩になります。
シマフクロウは国の天然記念物であり、国内希少野生動植物種にも指定された希少な鳥です。野生の個体を探して生息地に立ち入ると、繁殖や生活の妨げになることがあります。野生での観察は保護のルールに配慮が必要なため、まずは動物園で、その姿と物語にふれてみるのがおすすめです。
フクロウの仲間にもっと会いたくなったら
シマフクロウの魅力にふれて、ほかのフクロウやふしぎな鳥にも会いたくなった方へ。フクロウたちと間近でふれあえる施設として人気なのが、静岡県の掛川花鳥園です。

また、「なぜヘビを食べるの?」と名前からして気になる猛禽・ヘビクイワシも、シマフクロウと同じく会える場所が限られる個性派です。

動物園でシマフクロウを楽しむ3つのコツ
コツ1:まずは「大きさ」を体で感じる
写真ではなかなか伝わらないのが、シマフクロウの本当の大きさです。翼を広げれば約180cm——大人の身長ほどにもなります。展示のそばに立って「自分より大きいかも」と見上げてみると、このフクロウがなぜ森の主とされてきたのかが実感できます。
コツ2:静かに、じっくり観察する
シマフクロウは本来、夜に活動する鳥です。日中はとまり木でじっとしていることも多く、大きな瞳や、羽の細かな模様、太い足の指をゆっくり観察できます。魚をとらえるための足やかぎ爪にも注目してみてください。大きな声や物音は鳥を驚かせてしまうので、静かに見守るのがマナーです。
コツ3:解説パネルで「物語」を読む
多くの園では、シマフクロウの生態やアイヌ文化での位置づけ、保護の歴史を解説パネルで紹介しています。「コタンコロカムイ」という呼び名や、世界最大級という事実を知ってから見ると、同じ一羽でもまるで違って見えてきます。お子さんと一緒なら、「この子は神さまって呼ばれてたんだよ」と話しかけてあげると、見学がぐっと思い出深いものになります。
シマフクロウと一緒に楽しみたい、会える場所が限られる鳥たち
せっかく足を運ぶなら、ほかの「会える場所が限られる鳥」もチェックしておきましょう。シマフクロウと同じく、限られた施設でしか出会えない個性派たちです。
たとえば、動かない鳥として有名なハシビロコウや、長い脚でヘビを蹴る猛禽ヘビクイワシ、沖縄・八重山の天然記念物カンムリワシ。どれも「一度見たら忘れられない」個性の持ち主です。
北海道の旅とあわせてシマフクロウに会うなら、同じ北海道のおたる水族館もおすすめ。トドやセイウチなど、北の海の生きものたちとあわせて、北海道ならではの動物めぐりが楽しめます。

シマフクロウに会える動物園に関するよくある質問
- Qシマフクロウに会える動物園はどこですか?
- A
2026年7月16日時点で、展示が確認できるのは釧路市動物園・旭川市旭山動物園・札幌市円山動物園(いずれも北海道)、秋田市大森山動物園(秋田県)、長野市茶臼山動物園(長野県)、那須どうぶつ王国(栃木県)の6施設です。
展示は個体の体調や施設の都合で休止されることがあるため、おでかけ前に各園の公式サイトで最新情報をご確認ください。
- Q関東でシマフクロウに会えますか?
- A
はい。関東では栃木県の那須どうぶつ王国の王国ファーム内「猛禽の森」で会えます(2024年3月30日公開開始・2026年7月16日時点)。本州ではほかに、秋田市大森山動物園(秋田県)、長野市茶臼山動物園(長野県)でも飼育・展示されています。
- Qシマフクロウはどれくらい大きいのですか?
- A
各動物園の公式情報では、全長約70cm、翼を広げると約180cm、体重は約3〜4kgとされ、現存するフクロウの仲間のなかでも世界最大級です。(学術的な資料では全長63〜71cm・翼開長175〜190cm・体重3.4〜4.1kgとされ、園や資料により数値に幅があります。)
- Qシマフクロウは天然記念物ですか?
- A
はい。シマフクロウは1971年に国の天然記念物に指定され、1993年(平成5年)には種の保存法の施行にともない国内希少野生動植物種にも指定されています。環境省の令和4年度調査では、北海道内の生息数は100つがい(約200羽)ほどとされる希少な鳥です。
- Qシマフクロウが「コタンコロカムイ」と呼ばれるのはなぜですか?
- A
コタンコロカムイ(コタン・コㇿ・カムイ)は、アイヌ語で「村を守る神」「村を司る神」を意味する呼び名です。森の頂点に立つ世界最大級のフクロウとして、アイヌの人々に神としてあがめられてきました。円山動物園の解説でも「村を守る神様としてあがめられてきた」と紹介されています。
まとめ:森の神さま「シマフクロウ」に会いに行こう
会えるのは全国6施設(2026年7月16日時点)——釧路市/旭山/円山(北海道)・大森山(秋田)・茶臼山(長野)・那須どうぶつ王国(栃木)
世界最大級のフクロウで、国内のフクロウでは唯一、魚を主食にする
アイヌ文化ではコタンコロカムイ(村を守る神)とあがめられてきた
国の天然記念物(1971年)・国内希少野生動植物種(1993年)に指定された希少種で、道内の生息数は約100つがい(環境省・令和4年度)
見学は「大きさを体感」「静かにじっくり」「解説パネルで物語を読む」のがおすすめ
シマフクロウは、ただ大きくて珍しいだけの鳥ではありません。神と呼ばれた歴史と、絶滅の危機から守られてきた物語を背負った、北海道の森を象徴する存在です。近くの園で会えるなら、ぜひその大きな瞳をのぞきこんで、「森の神さま」に会いに行ってみてください。
※ 本記事の情報は2026年7月16日時点で各園の公式サイト・環境省等により確認したものです。展示状況・所在地・開園情報は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。


