大きなくちばしで、何時間もじっと動かない鳥「ハシビロコウ」。動物園で見ても置きものみたいに止まっていて、なぜ動かないのか気になっていませんか?
ハシビロコウはアフリカの湿地にすむ大きな鳥で、じっと止まっているのは魚をとるための作戦なんです。その不思議な暮らしには、生きのびるための工夫がつまっています。
本記事では、ハシビロコウの特徴や生態、動かない理由、そして日本で会える場所まで紹介します。会いに行く前に、ぜひ読んでみてくださいね。
ハシビロコウってどんな鳥?基本データ
ハシビロコウは、ペリカン目ハシビロコウ科に分類される大きな鳥です。学名は Balaeniceps rex(バレニケプス・レックス)。じつはハシビロコウの仲間はこの1種だけで、世界に近い親せきのいない、めずらしい鳥なんですよ。
名前の「ハシビロ」は、はば広いくちばしのこと。まずは大きさを、下の表で見てみましょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 全長(高さ) | 約110〜140cm |
| 翼を広げた長さ | 約2.5m |
| 体重 | オス約5.6kg・メス約5kg |
| くちばしの長さ | 約14〜28cm |
| 寿命 | 長いと35年ほど |
| 分類 | ペリカン目ハシビロコウ科(1科1種) |
| おもな食べ物 | ハイギョ・ナマズなどの魚 |
| IUCN保全状況 | 危急種(VULNERABLE) |
出典: Animal Diversity Web「Balaeniceps rex」(ミシガン大学)(参照日2026-06-16)/上野動物園「ハシビロコウ」(参照日2026-06-16)
人の身長くらいある大きな体に、木ぐつのような大きなくちばし。動物園でも特に目を引く存在で、その迫力にびっくりする人も多いんですよ。
なぜ「動かない鳥」と呼ばれるの?
ハシビロコウが「動かない鳥」として有名なのは、何時間もじっと止まったまま、ほとんど動かないことがあるからです。動物園では置きもののように立っている姿が、かえって人気になっています。
では、なぜ動かないのでしょうか。それは、えものをとるための「待ちぶせ作戦」なんです。ハシビロコウの大好物は、湿地にすむ「ハイギョ」という魚。ハイギョはときどき水面に上がって空気をすう習性があり、ハシビロコウはそのチャンスをのがさないよう、息をひそめてじっと待っているんですね。
そして魚が水面に近づいた瞬間、大きなくちばしで一気にとらえます。動かないのはなまけているのではなく、しんぼう強い狩りの名人だからなんですよ。
出典: 上野動物園「ハシビロコウ」(参照日2026-06-16)
ハシビロコウの生態
暮らす場所・分布
ハシビロコウは、アフリカの中東部にすむ鳥です。南スーダン、ウガンダ北部、タンザニア西部、ザンビア北東部などの、水草がしげった淡水の湿地や沼に暮らしています。
こうした広い湿地は、ハイギョなどのえものが豊富な、ハシビロコウにとって大切なすみかです。えさが十分にある場所では、あまり移動せず同じあたりにとどまって暮らす習性があります。
出典: Animal Diversity Web「Balaeniceps rex」(ミシガン大学)(参照日2026-06-16)
食べ物は魚が中心
ハシビロコウの主食は、ハイギョやナマズ、ティラピアなどの魚です。大きなくちばしで魚をがっちりはさんで、丸のみにします。
魚以外にも、水ヘビやカエル、オオトカゲ、カメ、ときには小さなワニの子どもまで食べることがあります。湿地のハンターとして、いろいろな生きものをえものにしているんですね。
出典: Animal Diversity Web「Balaeniceps rex」(ミシガン大学)(参照日2026-06-16)
大きなくちばしと、ひとりで暮らす習性
ハシビロコウの一番の特徴は、なんといっても木ぐつのような大きなくちばしです。先がするどくカーブしてかぎ状になっていて、つかまえた魚をにがしません。色は黄色っぽく、こい色の点もようが入っています。
ハシビロコウは基本的に、群れをつくらずひとりで行動します。広い湿地でそれぞれがなわばりを持ち、静かに狩りをして暮らしているんですよ。
出典: Animal Diversity Web「Balaeniceps rex」(ミシガン大学)(参照日2026-06-16)
くちばしを「カタカタ」鳴らすあいさつ
ふだんは静かなハシビロコウですが、じつは声を出す代わりに、上下のくちばしを打ち合わせて「カタカタカタ」という音を出すことがあります。これは「クラッタリング」と呼ばれる行動です。
この音は、おじぎをするような動きと一緒に見られ、仲間どうしのあいさつや、人が世話をするときに見せることがあります。機関銃のような大きな音にきこえることもあり、動物園で運よく見られたらラッキーですよ。
出典: Animal Diversity Web「Balaeniceps rex」(ミシガン大学)(参照日2026-06-16)
ハシビロコウの保全状況
動物園の人気者ハシビロコウですが、野生では数が減ってきている鳥です。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「危急種(VULNERABLE)」に分類され、ワシントン条約(CITES)でも取引が制限される付属書IIに入っています。
野生に残っているのは、成熟した個体だけで約3,300〜5,300羽(全年齢を含めると5,000〜8,000羽ほど)と推定されています。数が大幅に減っており、保全が急がれています。数が減っている主な原因は、すみかである湿地の開発や、密猟・違法な取引などです。広い湿地が守られることが、ハシビロコウの未来につながっているんですね。
出典: IUCN Red List「Balaeniceps rex」(2020年評価)(参照日2026-06-16)
日本でハシビロコウに会える場所
「ハシビロコウに会ってみたい」という方も多いですよね。じつは日本でも、いくつかの動物園でハシビロコウに会うことができます。上野動物園など、限られた施設で大切に飼育されているんですよ。
日本で会える施設や、それぞれの最新の展示状況・アクセスは、こちらの記事でくわしくまとめています。

展示の状況は変わることがあります。おでかけ前に、各施設の公式サイトで最新情報を確認してくださいね。
ハシビロコウのよくある質問
まとめ
- ハシビロコウはペリカン目の大きな鳥で、仲間は世界に1種だけ
- 「動かない」のは、魚を待ちぶせするための狩りの作戦
- 主食はハイギョやナマズなどの魚。大きなくちばしで丸のみにする
- くちばしを「カタカタ」鳴らすあいさつ(クラッタリング)をする
- アフリカの湿地にすみ、IUCNでは危急種。野生の成熟個体は約3,300〜5,300羽(全体5,000〜8,000羽ほど)
- 日本でも上野動物園など限られた施設で会える
- 動かなくてもじっくり待つ。動いた瞬間や羽づくろいはシャッターチャンス
- くちばしの「カタカタ音」が聞けたらラッキー
- 展示状況は変わるため、おでかけ前に公式サイトで確認する
大きなくちばしでじっと動かない――その姿の裏には、湿地で生きぬくしんぼう強さがありました。日本でも会える場所があるので、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。

ほかのちょっと変わった鳥や動物の生態が気になった方は、こちらの記事もおすすめですよ。


参考: ハシビロコウ – Wikipedia(参照日2026-06-16)


