木の上でまるくなって、いつもうとうと眠っているコアラ。動物園で「動いているところを見られなかった……」という経験をした方も、きっと多いのではないでしょうか。
のんびり屋に見えるコアラですが、その暮らしぶりには「ユーカリしか食べない」「1日のほとんどを眠ってすごす」など、おどろきのひみつがたくさんかくれているんです。
本記事では、コアラの特徴や生態、なぜあんなに眠るのか、なぜユーカリばかり食べるのかという理由、そして日本で会える動物園まで、まるごと紹介します。会いに行く前に、ぜひ読んでみてくださいね。
コアラってどんな動物?基本データ
コアラは、コアラ科コアラ属に分類される動物です。学名は Phascolarctos cinereus(ファスコラルクトス・キネレウス)。じつは、カンガルーやウォンバットと同じ「有袋類(おなかに袋を持つ仲間)」なんですよ。
「クマ」のような見た目から英語で「コアラベア」と呼ばれることもありますが、クマの仲間ではありません。まずは大きさや寿命を、下の表で見てみましょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 体長 | 約65〜82cm(地域差あり) |
| 体重 | オス約4.2〜14.9kg・メス約4.1〜11kg(地域差あり) |
| 寿命 | 野生で18年以下ほど |
| 分類 | コアラ科コアラ属(有袋類) |
| 主食 | ユーカリの葉 |
| IUCN保全状況 | 危急種(VULNERABLE) |
出典: IUCN Red List(Phascolarctos cinereus, 2020)(参照日2026-06-15)
体の大きさは、暮らしている地域によって差があります。オーストラリアの南のほうに暮らすコアラのほうが、北のほうのコアラよりも体が大きくなる傾向があるんですよ。
コアラは1日約20時間も眠る
コアラといえば、やっぱり「いつも眠っている」イメージですよね。じつはコアラは、1日のうち18〜20時間以上を、眠ったり休んだりしてすごすといわれています。起きて活動しているのは、たったの数時間だけなんです。
これほど長く眠るのには、ちゃんと理由があります。コアラの主食であるユーカリの葉は、栄養が少なく、消化するのにとても時間とエネルギーがかかる食べ物なんです。そこでコアラは、なるべく動かずにじっとして、エネルギーの消費をおさえているんですね。たくさん眠るのは、なまけているのではなく、少ない栄養でかしこく生きるための工夫なんですよ。
出典: Animal Diversity Web(ミシガン大学)(参照日2026-06-15)
ユーカリしか食べないのはなぜ?
コアラは、ほぼユーカリの葉だけを食べて生きている、めずらしい動物です。1日に食べる量は500g〜1kg以上にもなります。では、なぜユーカリばかりを食べるのでしょう。
じつはユーカリの葉には、多くの動物にとって毒になる成分がふくまれています。そのため、ユーカリを食べる動物はとても少なく、コアラはライバルの少ない食べ物を独りじめできるというわけなんですね。
コアラは、ユーカリの毒を分解するために、とても発達した盲腸(もうちょう)と肝臓(かんぞう)を持っています。また、大きな鼻でユーカリのにおいをかぎ分け、その日の体調に合った安全な葉を選んで食べているんですよ。ユーカリにはたくさんの種類がありますが、コアラが食べるのはそのうちのごく限られた種類だけなんです。
出典: 平川動物公園公式「コアラ」/Animal Diversity Web(ミシガン大学)(参照日2026-06-15)
見た目の特徴は「木の上で暮らすための体」
コアラのふわふわした体には、一日の大半を木の上ですごすための工夫がたくさんつまっています。パーツごとに見ていきましょう。
枝をしっかりつかむ手と鋭い爪
コアラの手には鋭い爪があり、指は枝をぎゅっとにぎりやすいつくりになっています。これによって、高い木の上でも安定して体を支え、眠っているあいだも落ちずにいられるんですね。木登りにぴったりの、たよれる手なんですよ。
大きな鼻
コアラの顔でいちばん目立つのが、大きな鼻です。この鼻でユーカリのにおいをかぎ分け、食べても安全な葉や、おいしい葉を選んでいます。コアラにとって鼻は、食事をするうえでとても大切な役割を持っているんですね。
出典: 平川動物公園公式「コアラ」(参照日2026-06-15)
おしりのふかふかした毛
コアラのおしりには、クッションのようにふかふかした毛が生えています。かたい木の枝の上に長い時間すわっていても、おしりが痛くなりにくいんですね。木の上でゆったりすごすための、コアラならではの体のつくりといえます。
出典: Australian Koala Foundation「身体的特徴と生態」(参照日2026-06-15)
コアラの生態
生息地・暮らす場所
コアラは、オーストラリアの東部から南東部にかけての森林に暮らしています。クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州などのユーカリの森が、コアラのふるさとなんですよ。基本的に1頭で暮らす、単独行動の動物として知られています。
出典: Animal Diversity Web(ミシガン大学)(参照日2026-06-15)
食べ物
コアラの主食はユーカリの葉です。ときにアカシアやティーツリーの葉なども食べることがあります。動物園では、コアラのために新鮮なユーカリを毎日用意していて、コアラが好みの種類を選べるよう、数種類のユーカリをそろえている施設もあるんですよ。
出典: 平川動物公園公式「コアラ」(参照日2026-06-15)
繁殖・赤ちゃんの暮らし
コアラの妊娠期間は34〜36日ほどと短く、生まれたばかりの赤ちゃんは体長2cmほどしかありません。目も開いておらず、毛も生えていない小さな赤ちゃんは、自分でおなかの袋(育児嚢)にもぐりこみ、その中で大切に育てられます。
袋の中ですくすく育った赤ちゃんは、やがて顔を出すようになり、お母さんの背中におぶさってすごすようになります。コアラの赤ちゃんはとても愛らしく、動物園でも大人気なんですよ。
出典: Animal Diversity Web(ミシガン大学)(参照日2026-06-15)
コアラのおなかの袋は「後ろ向き」
コアラのお母さんは、カンガルーと同じようにおなかに育児嚢(いくじのう)という袋を持っています。でも、その袋の向きには大きなちがいがあるんです。コアラの袋は、入り口が下のほう(おしり側)を向いた「後ろ向き」についているんですよ。
これには、ユーカリだけを食べるコアラならではの理由が関係しているといわれています。赤ちゃんは成長してくると、お母さんが出す「パップ」という特別な離乳食を食べます。これは、お母さんがユーカリを盲腸で半分消化してつくる、やわらかい緑色の食べ物。袋が後ろ向きだと、赤ちゃんがこのパップを食べやすいんですね。ユーカリを安全に食べられるようになるための、大切な準備食なんですよ。
出典: Animal Diversity Web(ミシガン大学)(参照日2026-06-15)
コアラの名前の由来
「コアラ」という名前は、オーストラリアの先住民アボリジニの言葉が由来とされています。「水を飲まない」という意味だと紹介されることもありますが、これは誤った説だといわれています。
実際には、コアラはまったく水を飲まないわけではありません。ふだんは食べているユーカリの葉から水分の多くをとっていますが、暑い時期などには水を飲むこともあると報告されています。「ほとんど水を飲まない」というイメージから、名前の由来として語られるようになったのかもしれませんね。
出典: コアラ – Wikipedia(参照日2026-06-15)
コアラの保全状況
コアラは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「危急種(VULNERABLE)」に分類されています。これは、将来的に絶滅する危険が高まっている、と心配されているランクです。
森林の開発によってすみかであるユーカリの森が減ったり、山火事や病気の影響を受けたりして、野生のコアラの数は減ってきていると考えられています。なお、2022年2月にはオーストラリア政府が、クイーンズランド州・ニューサウスウェールズ州・首都特別地域に暮らすコアラを国内法で「絶滅危惧(ENDANGERED)」に引き上げました(IUCNの世界全体での評価は危急種のままです)。愛らしいコアラがこれからも元気に暮らしていけるよう、その生息地を守っていくことが大切なんですね。
出典: IUCN Red List(Phascolarctos cinereus, 2020)、オーストラリア政府 環境省(コアラの保全状況)(参照日2026-06-15)
日本でコアラに会える動物園
コアラは、日本でも限られた動物園で会える人気者です。ユーカリの確保がむずかしいため飼育できる施設は多くありませんが、その分、会えたときのうれしさもひとしおですよね。全国の展示施設の一覧や、それぞれの最新の展示状況・アクセス・観覧のポイントは、こちらの記事でくわしくまとめています。

給餌(きゅうじ)の時間など、起きているコアラを見やすいタイミングは施設によって異なります。おでかけ前に、各施設の公式サイトで最新情報を確認してくださいね。
コアラのよくある質問
まとめ
- コアラはコアラ科コアラ属の有袋類で、カンガルーやウォンバットの仲間
- 1日18〜20時間以上を眠ってすごし、エネルギーを節約している
- 主食はユーカリの葉。毒を分解できる体を持ち、1日500g〜1kg以上食べる
- 鋭い爪・大きな鼻など、木の上の暮らしに適した体のつくり
- 育児嚢は後ろ向き。赤ちゃんは「パップ」という離乳食で育つ
- IUCNでは危急種(VULNERABLE)。日本でも限られた動物園で会える
いつも眠っているのんびり屋に見えて、じつは少ない栄養でかしこく生きる工夫がいっぱい――知れば知るほど魅力があふれてくるのがコアラです。動物園で本物に会えば、その愛らしい姿にきっと癒やされるはずですよ。会いに行ける動物園は、こちらの記事でチェックしてみてくださいね。

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