体毛がほとんどなく、しわしわの肌に大きな出っ歯——写真を初めて見た人の多くが「かわいい」より先に「なんだこれ?」と声をあげてしまう動物、それがハダカデバネズミです。その奇妙な見た目とは裏腹に、いま世界中の研究者から熱い視線を浴びている、とても不思議な生き物です。
女王を中心にアリやハチのような社会をつくること。ネズミの仲間なのに約30年も生きること。そしてがんにかかりにくいこと。知れば知るほど「本当にネズミ?」と言いたくなる特徴のかたまりなのです。
この記事では2026年7月16日時点でハダカデバネズミに会える動物園を、各園の公式情報で確認して6施設にまとめました。あわせて、見た目・真社会性・長寿とがん耐性・体温のふしぎといった「会いに行く前に知っておくと10倍楽しめる」生態も、公式情報にもとづいて解説します。
この記事の見方
飼育施設は日本動物園水族館協会(JAZA)系の飼育園館データベースで一覧を確認し、各施設の展示場所・所在地はそれぞれの公式サイトで裏を取っています(すべて2026年7月16日時点)。展示は個体の体調や施設の都合で予告なく中止されることがあるため、おでかけ前に各園の公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。
ハダカデバネズミに会える動物園【2026年最新・6施設】
まず結論です。2026年7月16日時点で、ハダカデバネズミの飼育・展示が確認できるのは次の6施設です。北海道から九州まで各地に散らばっていますが、いずれも「近所にいる」というほど多くはありません。お住まいのエリアから会いに行ける園を探してみてください。
| 施設名 | エリア | 展示場所 |
|---|---|---|
| 札幌市円山動物園 | 北海道 | アフリカゾーン |
| 埼玉県こども動物自然公園 | 埼玉県 | ecoハウチュー(小動物舎) |
| 恩賜上野動物園 | 東京都 | 小獣館 |
| 伊豆シャボテン動物公園 | 静岡県 | タッチ de ZOO |
| アトア(átoa) | 兵庫県 | ELEMENTS 精霊の森 |
| 熊本市動植物園 | 熊本県 | いきもの学習センター |
※ 2026年7月16日時点で各園の公式情報により確認したものです。かつて掲載されていた施設でも、群れの縮小などで展示が終わっている場合があります。
札幌市円山動物園(北海道)
北海道でハダカデバネズミに会えるのが札幌市円山動物園です。展示場所はアフリカゾーン。公式サイトの動物紹介ページ(2025年2月20日更新)でも、ライオンやミーアキャットと並ぶアフリカゾーンの一員として紹介されています。
円山動物園のハダカデバネズミは、比較的新しくやってきた群れです。公式のお知らせによると、2024年(令和6年)11月22日に埼玉県こども動物自然公園から21頭(オス13頭・メス8頭、2019〜2021年生まれ)が到着し、環境に慣れた12月6日から一般公開されました。園内で飼育していた群れが減ってしまったための、新しい群れづくりを目的とした導入だそうです。
| 所在地 | 北海道札幌市中央区宮ケ丘3-1 |
| 展示場所 | アフリカゾーン |
| 公式サイト | 札幌市円山動物園 |
埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)
関東でじっくりハダカデバネズミを観察したいなら埼玉県こども動物自然公園がおすすめです。公式サイトの動物紹介ページで、2026年7月16日時点も飼育動物として案内されています。展示場所はecoハウチュー(小動物舎)。公式サイトによれば、ネズミの仲間をはじめ小さな動物たちを集めた施設で、日本初飼育のウスイロホソオクモネズミやグンディも同じ建物で見られます。
公式の解説には「地中にトンネルを掘り、群れをつくってくらしています。群れの中ではそれぞれ役割が決まっていて、こどもを産むのは1頭の女王だけです。アリやハチのように社会性をもっています」とあり、後述する真社会性のふしぎを、実際の群れの動きを見ながら学べるのが魅力です。さきほど紹介した円山動物園の群れも、もとはこの園から巣立った個体たちでした。
| 所在地 | 埼玉県東松山市岩殿554 |
| 展示場所 | ecoハウチュー(小動物舎) |
| 公式サイト | 埼玉県こども動物自然公園 |
ネズミの仲間の「社会性」を、もっとにぎやかな形で楽しみたい方には、同じげっ歯類のグンディやプレーリードッグもおすすめです。こちらの記事もあわせてどうぞ。

恩賜上野動物園(東京都)
東京都心でハダカデバネズミに会えるのが恩賜上野動物園です。展示場所は小獣館。透明なケースをトンネルでつないだ、まるでアリの巣のような展示で、群れが行き来する様子を間近で観察できます。
東京ズーネット(都立動物園の公式サイト)の生き物図鑑では、ハダカデバネズミは頭胴長90〜120mm、体重30〜60g、すみかは「乾燥した地域の土壌の地下」、レッドリスト区分はIUCNのLC(低懸念)と記載されています。過去には展示を一時休止していた時期もありましたが、公式の告知で展示再開が案内されてきました。来園前に上野動物園公式サイトのお知らせを確認しておくと安心です。
| 所在地 | 東京都台東区上野公園9-83 |
| 展示場所 | 小獣館 |
| 公式サイト | 東京ズーネット(恩賜上野動物園) |
上野動物園を訪ねるなら、ほかの東京の動物園とあわせて回るプランもおすすめです。エリアや無料施設で選べるまとめはこちら。

伊豆シャボテン動物公園(静岡県)
静岡・伊豆エリアでハダカデバネズミに会えるのが伊豆シャボテン動物公園です。展示場所は、公式サイトによると「タッチ de ZOO」に入ってすぐのところ。園の公式ブログでも「希少なハダカデバネズミが見られる」と紹介されており、小動物とのふれあいコーナーと一緒に楽しめます。
※ 同じ伊豆エリアには名前の似た体感型動物園もありますが、本記事で紹介しているのは伊東市富戸にある伊豆シャボテン動物公園です。お出かけの際は施設名をご確認ください。
| 所在地 | 静岡県伊東市富戸1317-13 |
| 展示場所 | タッチ de ZOO(入ってすぐ) |
| 公式サイト | 伊豆シャボテン動物公園 |
伊豆シャボテン動物公園には、ここでしか会えない珍しいげっ歯類「ボバクマーモット」もいます。あわせて会いに行きたい方はこちらもどうぞ。

アトア(átoa)(兵庫県・神戸)
関西でハダカデバネズミに会えるのが、神戸の都市型水族館アトア(átoa)です。展示場所は「ELEMENTS 精霊の森」エリア。園の飼育日記(2025年3月15日付)でも、水槽で暮らすハダカデバネズミが紹介されています。
アトアの解説パネルには「集団でトンネルに暮らし、女王ネズミだけが繁殖する真社会性。ガンや老化に耐性があり、最長30年も生きる。生存期間の8割は老化の兆候を示さない健康長寿動物」と書かれているそうで、生態のポイントがコンパクトにまとまった展示になっています。「カワウソの赤ちゃん?」と見まちがえる来園者も多い、と園のスタッフも綴っています。
| 所在地 | 兵庫県神戸市中央区新港町7番2号(神戸ポートミュージアム内) |
| 展示場所 | ELEMENTS 精霊の森 |
| 公式サイト | átoa(アトア) |
熊本市動植物園(熊本県)
九州でハダカデバネズミに会えるのは熊本市動植物園です。展示場所はいきもの学習センター(旧・動物資料館)。園の公式お知らせによると、2023年(令和5年)6月30日から一般公開が始まりました。
この群れは、熊本大学 大学院生命科学研究部 老化・健康長寿学講座の三浦恭子教授の研究室から提供されたハダカデバネズミ11頭がもとになっています。同時に、真社会性をもつもう1種ダマラランドデバネズミ4頭も国内の動物園で初めて展示されました。園の公式情報では「ハダカデバネズミを飼育している動物園は九州では熊本市動植物園のみ」と紹介されています。
| 所在地 | 熊本県熊本市東区健軍5-14-2 |
| 展示場所 | いきもの学習センター |
| 公式サイト | 熊本市動植物園 |
ハダカデバネズミってどんな動物?奇妙すぎる4つのふしぎ
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。ハダカデバネズミは「見た目のインパクト」で有名になった動物ですが、本当にすごいのはその中身。哺乳類の常識をいくつもくつがえす、ふしぎのかたまりなのです。
ふしぎ1:毛がなく、歯が唇の外にある奇妙な見た目
名前のとおり、ハダカデバネズミには目立った体毛がありません。円山動物園の解説によれば、体表には接触に敏感な細かい感覚毛だけが生えています。完全に地中で暮らすため、毛が邪魔になりにくいと考えられています。
もうひとつの特徴が、大きく飛び出した出っ歯です。アトアの飼育日記では「歯が皮膚を突き破って生えている」と表現されるほど。この歯は食べるためだけでなく、地中にトンネルを掘るスコップの役割も果たします。さらに円山動物園の解説によると、門歯の後ろで唇が壁のように閉じるつくりになっていて、穴を掘るときに土が口の中へ入るのを防いでいるそうです。歯の外側で唇を閉じられる、というわけです。
学名のHeterocephalus glaberも、この見た目に由来します。属名 Heterocephalus は「変わった頭部」、種小名 glaber は「無毛の」という意味。名は体を表す、を地でいく動物なのです。
ふしぎ2:女王を中心とした「真社会性」——アリやハチのような社会
ハダカデバネズミ最大の特徴は、その社会のつくり方にあります。アリやハチのように、群れの中で役割を分担する社会を「真社会性(しんしゃかいせい)」と呼びますが、熊本市動植物園の公式情報によると、真社会性をもつ哺乳類はハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種だけです。
女王:群れでただ1頭、子どもを産む。ほかのメスは繁殖しない
王:女王とともに繁殖を担うオス
兵隊:ふだんはごろごろしているが、敵が侵入すると身を挺して仲間を守る
雑用係(働きデバ):食料の調達、トンネルの拡張、子育てなどを担当。子育てのときは自分がヒーターがわりになって子どもを温める「布団係」も現れる
熊本市動植物園の情報では、群れは平均75匹、大きいと最大300匹にもなるとされています。この巨大な地下都市を、たった1頭の女王がまとめている——ネズミというより、まるで昆虫の巣を見ているような社会構造なのです。埼玉県こども動物自然公園やアトアの展示では、この役割分担を解説パネルとあわせて観察できます。
ふしぎ3:約30年の長寿と、がんへの強さ
一般的なネズミの寿命は2〜3年ほど。ところがハダカデバネズミは、飼育下でおよそ28〜30年生きるとされています(円山動物園の解説。動物図鑑ページは「約28年」、来園トピックスは「約30年」と、同園内でも記載に幅があります)。さらに熊本市動植物園の情報では最大寿命は37年とされ、体の大きさに対して桁違いに長生きな動物です。
さらに注目されているのが、がんへの強さです。熊本市動植物園は「がんにかかりにくいことが知られているため、医学研究で注目されています」と紹介しています。この記事の群れを提供した熊本大学の研究室のように、ハダカデバネズミの「老化しにくさ」「がんになりにくさ」のしくみを解き明かそうとする研究が世界中で進められています。
ハダカデバネズミが「がんにかかりにくい」ことは複数の研究で報告されていますが、「どんな個体も一切がんにならない」と言い切れるわけではありません。また、そのしくみが人間の医療にすぐ応用できると確定したわけでもありません。現在も研究が進められている、注目のテーマだと理解しておくとよいでしょう。
ふしぎ4:ほぼ変温動物?体温を自分で調節しない哺乳類
哺乳類は本来、体温を一定に保つ「恒温動物」です。ところがハダカデバネズミは、円山動物園の解説によると体温を調整する機能がほとんどなく、体温も低いという、哺乳類としては例外的な体をしています。まわりの温度に体温が左右される、カエルやトカゲに近い性質をもっているのです。
これができるのは、彼らが年間を通して温度変化の少ない地中で暮らしているから。外が暑くても寒くても地下の巣はほぼ一定なので、エネルギーを使って体温を保つ必要が少ない、というわけです。ちなみに寒いときは仲間同士で身を寄せ合い、団子のようになって暖をとります。長寿の理由のひとつとして、環境が厳しいときに代謝を大きく落とせる能力も注目されています。
ネズミの仲間の生態にもっと興味がわいた方は、世界最大のネズミの仲間・カピバラの生態もあわせて読むと、げっ歯類の多様さがよくわかります。

動物園でハダカデバネズミを楽しむ3つのコツ
コツ1:まず「女王さがし」をしてみる
ただ眺めるだけでももちろん楽しいのですが、ぜひ挑戦してほしいのが「どれが女王か」を探すことです。女王はほかの個体より体が大きく、群れの中心でどっしりしていることが多いといわれます。子どもを産むのは群れでただ1頭だけ——そう思って眺めると、ただのネズミの集団が「役割をもった小さな社会」に見えてきます。
コツ2:トンネルの中の動きを追う
多くの園では、透明なチューブやケースをつないでアリの巣のような展示にしています。食料を運ぶ個体、トンネルを掘り広げる個体、子どもに寄り添う個体——一匹ずつ「いま何をしているか」を追いかけると、役割分担のようすが少しずつ見えてきます。じっくり観察したいなら、小動物の展示が充実した埼玉県こども動物自然公園やアトアが向いています。
コツ3:静かに観察する(振動と物音は苦手)
ハダカデバネズミは、円山動物園も注意を呼びかけているとおり突然の物音や振動にとても敏感です。ガラスを叩いたり大きな声を出したりすると、驚いて隠れてしまうことがあります。小さなお子さんと一緒のときは、「そーっと静かに見ようね」と声をかけてあげると、落ち着いた自然な姿を観察しやすくなります。
ハダカデバネズミと一緒に楽しみたい、ふしぎな動物たち
せっかく足を運ぶなら、ハダカデバネズミだけで帰るのはもったいないところ。「見た目がユニーク」「会える場所が限られる」という点で共通する、ほかのふしぎな動物たちもチェックしておきましょう。
たとえば、パンダ・オカピ・コビトカバの世界三大珍獣。ハダカデバネズミと同じく「一度見たら忘れられない」個性派ぞろいで、会える動物園も限られています。

げっ歯類つながりでいえば、伊豆シャボテン動物公園にいるボバクマーモットや、埼玉県こども動物自然公園でも会えるグンディもおすすめ。同じ「ネズミの仲間」でも、暮らし方や社会のつくり方がまるで違うことに驚くはずです。
ハダカデバネズミに関するよくある質問
- Qハダカデバネズミに会える動物園はどこですか?
- A
2026年7月16日時点で、飼育・展示が確認できるのは札幌市円山動物園(北海道)、埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)、恩賜上野動物園(東京都)、伊豆シャボテン動物公園(静岡県)、アトア(兵庫県・神戸)、熊本市動植物園(熊本県)の6施設です。
展示は個体の体調や施設の都合で中止されることがあるため、おでかけ前に各園の公式サイトで最新情報をご確認ください。
- Q関西でハダカデバネズミに会えますか?
- A
はい。関西では神戸の都市型水族館アトア(átoa)の「ELEMENTS 精霊の森」エリアで会えます(2026年7月16日時点)。西日本ではほかに、九州の熊本市動植物園でも展示されています。
- Qハダカデバネズミはなぜがんになりにくいのですか?
- A
ハダカデバネズミが「がんにかかりにくい」ことは複数の研究で報告されており、細胞レベルの特別なしくみが関わっていると考えられていますが、そのメカニズムは現在も研究が進められている段階です。
ただし「一切がんにならない」わけではなく、そのしくみが人間の医療にすぐ応用できると確定したわけでもありません。熊本市動植物園なども「医学研究で注目されている動物」として紹介しています。
- Qハダカデバネズミの寿命はどれくらいですか?
- A
一般的なネズミの寿命は2〜3年ほどですが、ハダカデバネズミは飼育下でおよそ28〜30年(円山動物園の解説。図鑑ページは「約28年」、来園トピックスは「約30年」と園内で幅あり)、最大では37年(熊本市動植物園の情報)とされ、体の大きさに対して非常に長生きな動物です。
- Qハダカデバネズミの「女王」とは何ですか?
- A
ハダカデバネズミはアリやハチのような真社会性の社会をつくり、群れの中で子どもを産むのは1頭の「女王」だけです。ほかの個体は、群れを守る「兵隊」や、食料調達・巣づくり・子育てを担う「雑用係(働きデバ)」など役割を分担して暮らしています。真社会性をもつ哺乳類は、ハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種だけと言われています。
まとめ:奇妙で長生きな「ふしぎネズミ」に会いに行こう
会えるのは全国6施設(2026年7月16日時点)——円山/埼玉こども/上野/伊豆シャボテン/アトア/熊本市動植物園
女王を中心とした真社会性。アリやハチのような社会をつくる哺乳類は、ハダカデバネズミなど2種だけ
飼育下で約28〜30年(最大37年)の長寿で、がんにかかりにくいことから医学研究で注目
体温をほぼ自分で調節しない、哺乳類としては例外的な体のつくり
見学は「女王さがし」「トンネル観察」がおすすめ。振動と物音が苦手なので静かに見よう
童謡に出てくるような愛らしい動物ではないかもしれませんが、ハダカデバネズミは知れば知るほど「もっと見たい」と思わせてくれる、生き物のふしぎがつまった存在です。近くの園で会えるなら、ぜひその小さな地下都市をのぞいてみてください。
※ 本記事の情報は2026年7月16日時点で各園の公式サイト等により確認したものです。展示状況・所在地・開園情報は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。


